第3回 CTコロノグラフィの前処置について
前回まででCTコロノグラフィ(CTC)検査というものがどのような検査であるのかが大まかにご理解いただけたと思いますが、今回からはCTC検査を行うときに重要となる各ポイントについて解説していきたいと思います。第3回目となる今回は、CTC検査を行うにあたり、最初に行わなければならない前処置法について解説いたします。
CTCの前処置について
前回、検査の流れの説明で少し前処置法について触れましたが、CTC検査を行うためにはまず、腸管内をきれいにする必要があり、腸管内に残便や残液等がまったく残っていない状態がCTCにとって望ましいと言えます。これらが残っていると病変部描出の妨げとなり正しい判断が難しくなるからです。CTC検査において、残便が残っている場合はポリープ等の隆起性病変と間違える可能性があり、残液は病変部を覆い隠して見落としの原因になる可能性があります。
![]() 残液画像。残液に覆われて |
![]() 残便画像。残便をポリープと |
そのため、これらの異物に関しては検査前になるべく取り除く必要があり、通常は大腸内視鏡検査や注腸検査と同様の前処置法を行います。大腸内視鏡検査の場合はゴライテリー液(等張液)を用いた前処置法が用いられ、注腸検査ではブラウン変法が用いられることが多いですが、それぞれに良い点や悪い点があり、どの前処置法がCTCに向いているのかは決定することが難しいというのが実情です。その理由として、これらの前処置法は内視鏡検査や注腸検査においては残液の吸引等で改善できる場合がありますが、CTC検査に用いた場合には検査中の対処が出来ないため、どちらを使用しても前処置後の状態が検査に大きく影響してしまうためです。それゆえ、CTCにとって最適な結果が得られる前処置法については現在も様々な手段が検討、開発されているのが現状です。
また、これらの前処置法は強烈な腸洗浄作用があるため、被検者にとっても苦痛を伴う等の負担を強いることとなっており、特に大腸がん検診のようにたくさんの方に受けていただく必要がある場合には、万人に受け入れられる受容性の高い前処置法であることが望まれています。
そこで、最近注目されている前処置法は、残便や残液が残っていてもそれ自体を造影剤で白く色付けしてしまいCT画像上で腸管壁の粘膜と分離できるようにする(残便等を標識することからタギングと呼ばれています)という技術で、既に臨床で用いている施設もあります。この方法では、バリウムやガストログラフィンを事前に服用することにより、それらがうまく残便、残液等と混ざり合ってCT画像上で白く標識されて、腸管粘膜との区別が容易になります。
![]() タギング画像 |
![]() 標識された残液の中に |
さらにCT画像上で白く写った残便等を、画像処理によって取り除くという手法(エレクトリッククレンジング等と呼ばれています)も開発が進んでいます。これらをうまく応用することによって、被検者の負担の少ない前処置法が可能になると期待されています。
![]() エレクトリッククレンジング前のタギング画像* |
![]() エレクトリッククレンジング後の画像* |

エレクトリッククレンジング後の仮想内視鏡像*
残液で覆われていた部分の観察が可能となる
(* 画像提供: 東海大学 市川珠紀先生)
いずれにしてもCTC検査において前処置法は非常に重要なポイントの一つで、前処置の良し悪しがそのまま検査の良し悪しにつながってしまいます。ゆえに、この前処置法をいかにうまく行うか、また、いかに被検者にとって受容性の高い前処置法を確立するかが、今後CTC検査を普及させる鍵となることは間違いありません。CTC検査にとって、現状では十分に臨床応用できそうな前処置法は、まだ検討、開発段階と言わざるを得ませんが、最適な前処置法を確立するための研究を行っている先生方やメーカーの努力によって、近い将来CTC検査に適した前処置法が確立されることでしょう。






