<2008年11月>学会参加紀行第三弾となりますが、10月27-29日に米国・ボストンで開催された第9回ボストン・バーチャルコロノスコピー・国際 シンポジウムの様子をお伝えします。
バーチャルコロノスコピー・国際 シンポジウムはボストン大学のFerrucci先生が中心となり毎年ボストンにて開催されているバーチャルコロノスコピー(別称CT コロノグラフィー:CTC)に特化したシンポジウムです。このシンポジウムにはACCME(Accreditation Council for Continuing Medical Education)により認定されたセッションがありボストン大学から医学生涯教育の履修単位が付与されます。
ご参加されている先生方ですが、北米の先生方のみではなく、ヨーロッパ腹部放射線学会(ESGAR:European Society of Gastrointestinal and Abdominal Radiology)のCTCワークショップの講師としておなじみのヨーロッパの先生方を始め、今年は中国から第一回CTC Asia Congressの大会長を務められる中国医学放射線学会のQi Ji学会長(天津大学)とZhou Cheng先生(北京医学院)、日本からは国立がんセンターの飯沼先生がご参加されていました。
同シンポジウムの開催は本年で9回目を迎え、今年の参加者は約220名ということでした。CTCの普及が進み重要度が増してきたことで、参加者も増えているなという印象を受けました。シンポジウムの内容ですがESGARでのCTCワークショップとは異なり、初日はScientific sessionが夕方のスポンサーメーカによるWorkstation Face-Offセッションまで開催されCTCに関する全般的なトピックスについて発表が行われました。
弊社展示ブース(クリックで拡大)
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初日のトピックスとしては『CTCが米国における大腸がん検診プログラムにおいて推奨される検査手技の一つとしてようやく認定された!』、といった切り口で、今までの経緯等からお話が始まるかと思いきや、そんな浮かれた話ではなく、いかに現実的にCTCを広範な施設にて採用していただき、適切な臨床データを提供していくのかといった、ロールアウトプランの詳細を含めたお話でした。
つまり、診療報酬体系、認定制度、読影トレーニング環境の整備等に関する各学会としての見解や今後の見通しについての紹介でした。このセッションではAGA(American Gastroenterological Association)の先生のお話もありましたが、AGAの考えている消化器内科の先生を中心としたCTCの普及促進案に対して、参加されているほとんどの先生のご専門が放射線専門医であるということから、その立場からのご意見が述べられていました。CTCが広範に普及していくための大前提として内視鏡、CTCを両側面から見られている先生方が既に述べられている"放射線医と消化器内科医の協調により初めて大腸がんによる死亡者数を軽減するということを最終目的としたCTCを用いた新しい大腸がん診断が可能になる"という方向性の確立においてはもう少し時間がかかるのかなと感じました。しかしながら、米国においては既に多くの施設がCTCを開始しており、消化器内科の先生方もCTC読影のトレーニングの機会を切望されており、その要求に応えるような動きも既に始まっているとのお話もありました。
次のセッションでは世界におけるCTC普及の現状ということで、日本からは飯沼先生が「CTC in Japan」というタイトルでご講演されました。飯沼先生のご講演では、まず日本における非常に質の高い内視鏡検査が大腸がん診断のベースになっているという事実と、その反面内視鏡検査がカバーできる検査数的な制限、被検者による拒絶により、FOBT陽性の方々のフォローアップ検査受診率が延びていないという現状を述べられました。次にCTC検査を通して得られたノウハウと、大腸内視鏡検査のパイオニアであり世界的に有名な工藤先生の下で習得された内視鏡診断の観点から、CTCが果たすべき役割についてご説明されました。特に、昨今欧米では言葉だけが先行して語られている"Flat lesion(平坦型大腸腫瘍)"に関して、どのような病変が診断において見逃されてはならないのかを見極め、それを見逃さないアプローチ法を開発することで意味のあるCTC検査が可能になるとのお考えを、このシンポジウムでは恐らく初めてだと思われる具体的なFlat lesionの症例を内視鏡画像・病理組織像の情報を含めて提示され、具体的にご説明されました。最後に、今後の大腸がんスクリーニングにおけるCTC検査の位置づけは高危険群の被検者の方もしくはFOBT陽性の方の検査をCTCが担い、その結果陽性と判断された方を内視鏡検査にという流れが望ましいのではないかという私見を述べられました。
シンポジウム会場(クリックで拡大)
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飯沼先生ご講演(クリックで拡大)
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その他のセッションでは、デジタル前処置法についての新たな試みが紹介されたり、コンピュータ検出支援(CAD: computer-aided detection)に特化したセッションがあり、既に幾つもの臨床的に有用性があることを示した研究成果が示しているとおり、臨床における非常に重要な役割を期待されていることがうかがわれました。
二日目からは、ワークステーションハンズオンと学術発表が平行して実施されていました。ハンズオンのセッションでは7社から提供された約50台のワークステーションが用意され、お一人、もしくはお二人の先生で一台のワークステーションを使い、2日間で50例の様々な症例を読影し、CTC読影の経験を高めていきます。このハンズオントレーニングでも冒頭で述べた単位が取得できる仕組みになっています。
ハンズオン風景(クリックで拡大)
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ハンズオン風景(クリックで拡大)
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最後になりますが、来年で第10回目を迎える本シンポジウムの開催はボストンから場所を移しACR (American College of Radiology)のエデュケーションセンターのあるヴァージニア州のレストンという街での開催となるようです。シンポジウムにおいて毎年恒例で実施されているハンズオン トレーニングのセッションはそのエデュケーションセンターにて実施されるとのことです。レストンという街はワシントンのダレス国際空港から数マイルの距離にあるようです。成田からは直行便もございますので、来年は一人でも多くの日本人の先生方とレストンにてお会いできることを期待しております。
次の学会参加紀行は北米放射線学会編でございます。ご期待ください。